マインドフルネス瞑想を大手企業が導入する理由とは?
その目的とメリット、実践方法、受講者の感想など

マインドフルネス瞑想を職場に取り入れる大手企業が増えているのはなぜでしょうか?職場においてどのような効果が期待できるのでしょうか?また、従来の瞑想とマインドフルネス瞑想はどのように違うのでしょうか?

そこで今回は企業や団体として、職場にマインドフルネス瞑想を導入する目的と効果について解説します。

1.瞑想とマインドフルネスの違い

1. 瞑想とは

瞑想は、仏教、キリスト教、イスラム教などの伝統的な宗教における修行方法の一つとして誕生し、発展してきました。その目的は幅広く、心身の静寂を取り戻すための比較的日常的な実践から、絶対者(神)を直接体験することや究極の智慧を得ることを目指すものまで、多岐にわたります。

現代では、瞑想は宗教的な枠を超え、健康の向上、心理的治療、自己成長、自己啓発など、世俗的な目的のためにも広く実践されています。

2. マインドフルネスとは

マインドフルネス(mindfulness)とは、心(mind)が満たされた(fulness)状態を指します。もともと瞑想の一形態ですが、宗教的な要素を取り除き、心身の健康向上や自己成長を目的とする実践として発展しました。

マインドフルネスは、心を静かに落ち着かせること、またはその状態そのものを意味します。そのため、近年では瞑想と組み合わせて「マインドフルネス瞑想」とも呼ばれるようになっています。

伝統的な瞑想をを学んだ、米国マサチューセッツ大学の医学部教授、ジョン・カバット・ジン氏が、1979年ストレス低減センター(マインドフルネスセンター)を大学内に設立し、一般的な社会生活の中に、心身の健康増進を目的としたマインドフルネスを普及させました。2007年の著作「マインドフルネスストレス低減法」がベストセラーになり、マインドフルネスという言葉が広く一般に知られるようになりました。

ビジネス界では2010年代にGoogle社が、社内コミュニケーション活性化やチームビルディングのために、社員のEQ(Emotional Intelligence Quotient 自分や他人の感情を理解し、管理する能力)の向上を目的に、マインドフルネスを導入して大きな効果を得たことから、大手企業でも導入が広まりました。

現在日本でも多くの企業で、社員の心身の健康増進やチーム・コミュニケーション向上などを目的に導入されています。

2.Googleー大手企業の導入事例

Google社は、従業員のウェルビーイングと生産性向上を目的として、2000年代からマインドフルネス瞑想を積極的に導入するようになりました。これにより、社員が自己認識を深め、ストレスを管理し、感情を効果的にコントロールすることを目指しています。

現在、瞑想や呼吸法の練習、感謝の瞑想、感覚の観察、ストレス管理などの具体的なマインドフルネスプログラムを社内で実施しています。また、Google社のオフィスには瞑想室が設けられていて、社員は日常の業務の中でマインドフルネス瞑想を実践しやすい環境が整えられています。

さらに、定期的に専門家を招いてマインドフルネス瞑想に関するワークショップやセミナーを開催し、社員がこれらの技術を学び、実践する機会を提供しています。

このマインドフルネスプログラムは、他の企業にも大きな影響を与えており、多くの企業が同様のプログラムを導入するきっかけとなっています。たとえば、フェイスブックやインテル、マッキンゼーといった大手グローバル企業や、米国海軍やペンタゴン、米国農務省森林局などの政府機関の研修でもマインドフルネス瞑想が取り入れられています。
参考:グーグルが熱中するマインドフルネスの正体|東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/131902?page=2

3.企業がマインドフルネス瞑想を導入する目的

1.心身の健康増進|従業員のストレス耐性を上げる

ストレスの軽減 
瞑想はストレスを軽減し、心の安定を促進します。これにより、従業員が仕事のプレッシャーに対処しやすくなります。

感情の調整 
感情の認識と管理が改善され、職場でのコミュニケーションや人間関係が円滑になります。

2.社内コミュニケーションの円滑化

感情の認識と表現 
従業員が自分の感情をよりよく理解し、適切に表現できるようになります。これにより、誤解や対立が減少し、円滑なコミュニケーションが実現します。

アクティブ・リスニング(傾聴力) 
マインドフルネスは注意深く聞く力を養います。従業員が互いに耳を傾け、共感を示すことで、信頼関係が築かれやすくなります。

協力と協調 
マインドフルネス瞑想は共感力を高め、チーム内の協力や協調が促進されます。これにより、チーム全体のパフォーマンスが向上します。

3.雇用ブランドの向上

マインドフルネスを導入している企業は、従業員の福祉を重視していると見なされます。これにより、優秀な人材を引き寄せる効果があり、企業のブランド価値が向上します。

4.イノベーションの促進

従業員がリラックスし、ストレスの少ない状態で働けると、創造力が高まります。これにより、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。

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ストレス下でも心折れない、こころのメンテナンス法を学ぶワークショップ型社員研修。講義で理解→ワークショップで体感するので、明日から使えるスキルが身につきます。 メンタルヘルス社員研修、ストレスマネジメント研修、チームワーク向上セミナーなど、職場の「心理的安全性」と個人のQOLを高める人気の研修です。

4.マインドフルネス瞑想|7つの効果

マインドフルネスを実践することで、多くの効果を得ることができます。以下に代表的な7つの効果を紹介します。

1.ストレス軽減
マインドフルネス瞑想はストレスを減少させる効果があり、心を穏やかに保つ助けとなります。

2.集中力の向上
マインドフルネスは注意力と集中力を高めるため、仕事や学習の効率を向上させることができます。

3.感情の調整
感情の認識と管理が上手くなり、日常生活における感情の浮き沈みに対処しやすくなります。

4.身体の健康
心拍数や血圧の低下など、身体的な健康にもポジティブな影響を与えることがあります。

5.精神的な明晰さ
精神的なクリアさや平静をもたらし、問題解決能力や判断力が向上します。

6.人間関係の改善
自己認識と共感力の向上により、他人とのコミュニケーションが円滑になり、人間関係が改善します。

7.自己理解の深まり
自分自身の感情や思考をより深く理解することで、自己成長や自己啓発に繋がります。

5.マインドフルネス瞑想|職場への導入形式:4種類

1.「マインドフルネス研修・セミナー」を実施して導入

マインドフルネス研修
まずはマインドフルネス瞑想がどのようなものか、従業員に体験してもらいながら、その目的や効果を知ってもらう実践型の研修や講習会を開催します。マインドフルネス瞑想の効果を実際に体験することで、従業員は自らのセルフケア法として、研修後の日常生活に取り入れることができます。

社内で定期的なマインドフルネス瞑想のセッションや社内サークルを設立を検討している場合は、まずは研修で試験的に従業員の反応を見たり、または従業員が今後の定期活動に参加してもらうモチベーションを高めるこもができます。

マインドフルネス瞑想法は、個人の嗜好による違いが大きいのが特徴です。例えば「呼吸の瞑想法」は、Aさんにとっては心地よく落ち着ける方法でも、Bさんにとっては逆に雑念が多く集中しづらいことがあります。一方で「歩く瞑想法」は、Aさんにとっては集中しづらいものの、Bさんにとっては心を落ち着かせる効果がある場合もあります。そのため研修では1種類の瞑想法だけでなく、5種類以上の瞑想法を体験できる内容がよいでしょう。

マインドフルネス・リトリート
短期集中型の合宿を開催し、メンバーが集中的にマインドフルネスを実践する機会を提供します。これにより、日常から離れてリラックスし、深い瞑想体験が得られます。オフィスを離れてホテルで行う研修の一部に、マインドフルネス講習の時間を組み入れるのもよいでしょう。

2.「定期的な瞑想タイム」を設けて導入

ランチタイムや休憩時間を活用する、朝礼や定期会議の一部に組み入れる、定期的に専門の指導者を招いて行う、など職場で定期的に瞑想タイムを設けます。従業員が集まり一緒にマインドフルネス瞑想を行うことができます。

3.「瞑想スペース」を設置して導入

オフィス内に静かなスペースを設け、従業員が自由に利用できるようにすることで、仕事の合間にリラックスする場所を提供します。

4.「社内サークル」を設立して導入

 興味のある従業員が集まり、定期的にマインドフルネス瞑想を行うサークルを作ります。参加者は互いにサポートし合い、瞑想の効果を共有することができます。

6.マインドフルネス瞑想の実践方法

1.失敗しないための3つのポイント

「自分でマインドフルネスをやっても上手くいかない」と感じる時は、以下の3つのポイントを確認しましょう。この3つのポイントをすべて意識して行うと、上手に瞑想を実践することができます。

五感で「感じる」
「考える」ことより「感じる」ことを優先させます。視覚以外の聴覚、嗅覚、触覚/体内感覚などの五感を研ぎ澄ませ、普段気づかないような繊細な部分まで感じていきましょう。脳に考えるスペースがなくなり、雑念が浮かびにくくなります。

やさしく「見守る」
体の感覚や外界からの刺激に飲み込まれないように、訪れるさまざまな感覚から少し距離を置いて、優しく見守るような心持ちで行いましょう。

● 雑念が湧いたら「戻る」
雑念が湧くのは人間の脳として自然なこと。雑念が湧いたときは「雑念が湧いてしまった、ダメだな」と否定的に思わず、心の中で優しく「こんな思いが湧いてきたんだね。では、戻ろう」と語りかけてみましょう。

そして、今ここで感じている感覚に意識を戻す。この作業を繰り返すことで、瞑想がより深まります。

2.マインドフルネス瞑想の種類

マインドフルネス瞑想の方法は一つではありません。実際にいくつか試し、自分の心が最も落ち着く瞑想法を見つけて、継続するとよいでしょう。以下に、初心者でも実践しやすい瞑想法の一部を紹介します。

● 呼吸の瞑想法
ゆったりとした自然呼吸をしながら、目を閉じて体の中に意識を向けます。呼吸と共に胸やお腹が、かすかに膨らんだり縮んだりする感覚を繊細に味わい続けます。胸やお腹が収縮する様子を体の内側から眺めるようにイメージしながら、動きに合わせて「膨らむ、縮む」と心の中で言葉にします。

● 川のせせらぎの瞑想法
目を閉じて座り、ゆったりとした自然呼吸を行います。美しい森の中にある小川のせせらぎの前に、自分がゆったりと座っているイメージをします。小川の澄み切った水、せせらぎの音、森の香り、頬にあたる風など、五感でありありと感じていきます。気になっていることや雑念などが浮かぶだびに、それを1枚の葉っぱの上に乗せて、葉っぱごと目の前の小川のせせらぎに流し、葉っぱが流されて見えなくなる様子をイメージします。

● ウォーキング・メディテーション
通常のスピードで数歩ほど歩いた後、今度はスローモーションで繊細に歩きます。床に触れる足の裏の感覚、太ももやふくらはぎ、腰の感覚、腕が前後に揺れる感覚、頬に触れる空気の動きなど、自分の体に訪れてくる感覚に繊細に気づき、感じます。目に入ってくる景色、耳に入ってくる音が、鼻に入ってくる匂いなどが、ゆったりとした歩行と共に変わっていく様子にも気づいていきます。

● 食べる瞑想法
1粒のレーズンをつまみます。そのレーズンのを四方から眺めて、普段気づかないような色やしわの様子に気づきます(視覚)。指に触れる感覚を味わいます(触覚)。スローモーションでレーズンを鼻を近づけた時の、距離による香りの違いを感じます(嗅覚)。レーズンを1/3程だけ食べます。レーズンのかけらが歯にあたる感覚、舌の上の感覚、味の移り変わり、唾液が出てくる感覚、飲み込んだ時の感覚など、スローモーションで繊細に味わいます。同様にしてまた1/3粒ほど食べ、最後に残りの1/3粒も食べます。食べた後の意の様子、口の中に残る味が消えていく様子なども繊細に感じていきましょう。

*実践時間:初心者はまず3分間ほどから始め、徐々に5分間、10分間と時間を延ばすとよいでしょう。

3.社内導入までの4ステップ

(1)実施方法をイメージする
従業員にセルフケア法を学んでもらう単独の研修やセミナーとして実施するのか、または社内での定期セッションを実施するのか、大まかにイメージしておきます。どちらにも決めかねる場合は、まずは単独の研修を1度行い、参加者の反応を見てから定期セッションを検討する、という方法でもよいでしょう。

(2)提供会社に問い合わせる
マインドフルネス瞑想は、個人を中心に教えている会社と、企業・団体向けに教えている会社があります。職場として導入する場合は、法人向けの専門会社に、研修セミナーや講習を提供する会社を選ぶとよいでしょう。

法人向けの専門会社は、企業・団体への導入実績が豊富なため、自社に合った導入目的や内容を相談したり、オフィスの会議室などの環境でも安心して任せることができます。また、提案資料や見積もりの取得もスムースです。

(3)社内検討と予算承認
マインドフルネス提供会社からの見積もりを基に、社内で決済を取ります。自社がマインドフルネス瞑想を導入する目的と、マインドフルネス瞑想の効果を「言語化」して説明することが重要。社内決済が通りやすくなります。

(4)研修セミナーやワークショップを実施
瞑想を行う会場を確保します。特別な瞑想ルームでなく、通常の会議室でも問題ありません。椅子があれば、特別な準備は不要です。照明の明るさ、環境音楽などのBGM、アロマディフーザーなど、必要に応じて準備してもよいでしょう。マインドフルネスを体感し、心静まる穏やかな時間を、みんなで一緒に楽しみましょう。

7.マインドフルネス研修|導入担当者の感想

弊社のマインドフルネス研修を、実際に導入された方の感想をご紹介します。

衛生委員会
A様

「想定を大幅に超える職員が参加を希望し、参加満足度も大変高く、とても有意義なセミナーを実施していただき感謝しています」

人事部
B様

「自律訓練法よりも簡単な方法で、心や体の動きを見つめ直し、整える方法を知り、私自身も学びになりました。他の従業員へもおすすめできる内容で、非常によいセミナーでした」

8.マインドフルネス研修|受講者の感想

弊社のマインドフルネス研修を、実際に受講された方の感想をご紹介します。

「自分で意識的に無意識の時間をつくることが、リフレッシュにつながることを知った。毎日のリフレッシュとして、取り入れていきたい」

「 毎日の習慣の一部に、簡単に取り入れられると思った。続けていくことで人に振り回されず、自分を軸に生きていけて、感情の波に飲み込まれなくなれそうな気がする」

「子育てでイライラすることが多いので、マインドフルネスを大いに活用し、心穏やかに日常を過ごしたい。自分にも周りにも優しくなれそう 」

9.マインドフルネス研修|実施費用の目安(価格・料金)

(株)ボディ・マインド・バランスが提供する、マインドフルネス研修の価格は以下の通りです。

受講人数
(視聴人数を含む)
120分
(標準コース)
90分
(ショートコース)
60分
(概略コース)
1名様以上20名様まで ¥8,000(税抜)/1人 ¥7,000(税抜)/1人 ¥6,000(税抜)/1人
21名様以上35名様まで ¥7,000(税抜)/1人 ¥6,000(税抜)/1人 ¥5,000(税抜)/1人
36名様以上50名様まで ¥6,000(税抜)/1人 ¥5,000(税抜)/1人 ¥4,000(税抜)/1人

*受講人数51名様以上(視聴人数を含む)及び半日コースの価格は、別途お問い合わせください。
*ご予算に合わせて、研修内容や時間や変更して実施することも可能です。詳細はお問い合わせください。
*対面研修では出張交通費を別途申し受けます。
*最少催行人数:10名様 (10名に満たない場合は、10名様の価格で実施可)

10.まとめ

伝統的な瞑想法から宗教的要素を除き、ストレス低減と感情の調整を目的としたマインドフルネス瞑想は、従業員のウェルビーイングとコミュニケーション活性化を目的に、多くの大手企業で取り入れられています。

(株)ボディ・マインド・バランスは、法人専門にマインドフルネス研修やワークショップを提供しているため、企業・団体への導入実績と経験が豊富です。

マインドフルネス瞑想で得られる心の静けさ、静謐さを体感したい方、自社に合ったマインドフルネス研修やワークショップをお考えの方、初心者でも実感できるマインドフルネス・セミナーをお望みの方など、気になることがありましたら、お気軽に下記よりお問合せください。

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この記事を書いた人:(株)ボディ・マインド・バランス 代表 草川明美

大企業や官公庁を中心に「マインドフルネス研修」をはじめとする各種「ストレスマネジメント研修」や「オフィスヨガ」などの講習を行う人気講師。受講者延べ3,000人超えの実績と経験がある。職場で使えるメンタルケアのスキルを、体験しながら実践的に学べる講習が特徴。


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