1.研修種類と目的の明確化

研修は、「1回完結型」と「継続教育型」の大きく2種類に分けられます。
「1回完結型」は、1回行えば、基本的には同じ対象者には再び行う必要がない「知識付与型」のもので、例えば新人研修や業務研修、メンタルヘルス研修であれば、管理職対象に行う「ラインケア研修」などがこれにあたります。

一方、「継続教育型」は、リマインド(呼び起こし)とモチベーション・アップを兼ねて、定期的・継続的に行うもので、従業員の健康増進のための教育研修や講習などがこれにあたります。

また、両者の中間の位置づけで実施する研修もあります。例えば、前述のメンタルヘルスの「ラインケア研修」なども、1回完結型研修で基本的な知識を学んだ後、翌年にチェックシートで学んだ知識を確認する研修を行ったり、またさらに翌年には、具体的な課題をグループワークで話し合うワークショップ研修を行ったりすることで、一度学んだ知識を風化させず、毎日の現場の仕事に生かすようにリマインドすることもがあります。

実施する研修が、このどの位置づけなのかをまず確認してから、研修の目的=現状とあるべき姿のギャップをどう埋めるのか、を記述します。

例えば、前述の「ラインケア研修」の第一回目であれば、「厚労省で定められている管理職が行うべきメンタルヘルス施策、その役割・範囲・具体的な実践法を学ぶことで、管理職がメンタル不調者の予防と早期発見、復職支援と職場環境の改善ができるようにし、組織全体でのメンタル不調者数減少の一助とする。」等の目的が考えられます。

また2回目であれば、「前回の研修で学んだ知識の理解促進とリマインドをすることで、メンタル不調者の予防と早期発見、復職支援と職場環境の改善をさらに進め、組織全体でのメンタル不調者数減少の一助とする。」等の目的も考えられます。

2.研修対象者を決める

研修はその受講対象別に「階層別研修」「部門・職種別研修」「全従業員研修」にも分類できます。

「階層別研修」(例:新入社員研修、管理職研修など)や「部門・職種別研修」(例:営業スキルアップ研修、ITセキュリティ研修など)は、対象者を絞って、その対象者に必要とされる知識を習得させる研修です。

一方、全従業員が知っておくべき、またはスキルアップにつながる研修(例:コミュニケーション研修、メンタルヘルス「セルフケア」研修など)は、「全従業員研修」として実施します。予算に制限がある場合は、全従業員の中から管理職や必要性の高い部門や職種に絞って行うこともあります。

昨今は、同じ職場でも社員、派遣社員、パート社員、外部企業からの出向など、異なる立場の人が同じ職場で働くことも多いため、チーム・ビルディングや職場の一体感の醸成のために、すべての従業員を対象に研修を行う企業も増えています。

研修の目的と予算に合わせて、対象者を決定します。

3.研修タイミングは適切か

研修を実施するタイミングは、繁忙期を避けるのはもちろん、曜日と時間帯もなるべく多くの受講対象者が参加できるタイミングを選ぶことが重要です。

特に受講が必須とされる「必修型研修」ではない、従業員が自ら申し込んで参加する「任意参加型研修」の場合は、研修名や研修内容以上に、この実施タイミングが、出席者数に強く影響します。

そのため、なるべく多くの従業員に参加してもらうためには、研修の中身を検討するのと同じくらい綿密に、実施タイミングを計画する必要があります。事前のアンケートなどで参加しやすい日時を聴取した上で、一番多く人が集まれる日時を選択するという方法も有効です。

4.参加者のニーズに合った研修名と研修内容
~対象者の「悩み」を解決できる具体策であるか

研修名と研修内容が、参加者が興味が持てる内容であることが、参加意欲の喚起のためにとても重要です。

一般的には、今ある「現状を向上」させる”プラスにする”よりも、目の前の「悩みを解決」する”マイナスをなくす”問題解決・ソリューション型研修の方が、より参加意欲を喚起すると言われます。

例えばメンタルヘルス研修であれば、「心の健康」研修よりも、「ストレス軽減法」研修の方が、より多くの人に参加してもらえる可能性が高くなるという訳です。

同時に、組織全体としての研修目的とは別に、「3分でストレスを減らす方法を学べる」など、”参加者個人が、享受できるメリットは何か”をはっきり伝えられる内容であることも、参加意欲の喚起にとても重要です。

5.<知識>重要なポイントを、ひとまとめに学べる研修内容
~参加者の時間節約メリットに。

簡単に様々な情報が入手できる今日のインターネット社会では、情報そのものの価値は下がり、大量の情報の海の中から、本当に役立つ情報だけをピックアップしてくれる、コンシェルジェ的なサービスに価値が移行してきています。

研修に参加する大きなメリットとして、短い時間で、大事な情報だけを、まとめてレクチャーしてもらえる、という点があります。

自社の現状に合った形で、情報がコンパクトにまとめられている研修内容であることが重要です。

6.<体験>研修が、双方向型になっているか

一方的に知識を聴講するだけの座学的な研修は、受講者が受け身で聞き流していたり、受講中に眠気が襲ってくるケースもあり、専門業務の知識取得型研修を除いて、比較的高い効果を得られないと言われています。

知識の習得だけを目的にするなら、eラーニングでも充分です。eラーニングではできない、集合研修だからできること。それが受講者が能動的に参加するしくみがある「体験」型の研修のメリットです。

研修内容に、「セルフチェックシート」の使用やグループワーク対話形式実際に体を動かすなど、研修内容に参加者が体験し、実感できる仕組みが組み込まれているかどうかがポイントです。

体験型研修は、学んでいる内容を「自分事」として捉えられるため、学習内容を自分の場合に置き換えて理解が深まるのと同時に、研修後も受講者が学んだ内容を現場で実践して活かしやすくなります。受講者の行動変容の動機づけに、とても効果的です。

7.実際に“現場で使える”研修内容

「先生が言ってることは正論だけど…、現場で実際にやるのは難しい。」受講者からこのような感想を聞いたことはありませんか?

受講内容が、「すべきこと」(what to do)の羅列に終始して、“自社の現場で”実践する方法(How to do)が具体的に語られない研修は、聴講して終わりになりがちです。

したがって、現場の状況に即した“実践的な”研修内容になっていることがとても重要です。

同時に、“自社の状況”に合った内容になっているかどうかもポイントです。一般論ではなく、自社の業種業態や勤務形態などに合った内容になっていることや、過去に実施した研修内容とかぶらないように精査されているなど、自社に合わせた内容にカスタマイズされているかがポイントです。

8.<講師>経験から語れる人材か

教科書にかかれている知識を、そのまま伝えるだけの講師の研修は退屈なものです。
その話は心に響かず、受講者は右から左にすぐに忘れてしまうかもしれません。

講師の実体験や、現場での話などを織り交ぜて説明してもらえると、単なる知識ではなく、生きた知恵や物語となって、本来の意味での理解が深まります。結果、「使える知識」となるのです。

経験をベースにした話が一番説得力があります。研修講師が、経験から語れる人材であることが重要です。

9.研修実施の効果測定ができているか

研修を実施したらそれで終わり、になっていないでしょうか?

教育研修の評価法として有名なのが、「カークパトリックの4段階評価」です。

評価の手法・方法はさまざまですが、例えば以下のような手法を使って評価を行うことができます。

レベル1: 研修直後のアンケートで、受講者の参加満足度など調査・数値化。
レベル2: 研修後のテストなどで、学習内容の理解度を調査・数値化。
レベル3: 研修の数週間~数か月後のアンケートで、学習内容の実践度を調査・数値化。
レベル4: 研修前後の期間比較で、受講した部署・組織の生産性(例:業績、休職者数等)を、比較・数値化。

レベル4については、生産性に影響を及ぼす要因は教育研修以外にも複数あるため、単純な数値化と評価は困難ですが、様々な要因を数値化して組み合わせて評価を行っている職場もあるようです。

研修の評価を行うには、費用とエネルギーが別途必要です。したがってどこまで詳しく評価を行うかは、個々の状況に合わせるべきですが、レベル1の研修後のアンケートなどは比較的手軽に行えるため、研修自体のクオリティ・チェックも含めて、最低限実施することが望まれます。